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斉藤謠子「わたしのこだわり」 > 道具のおはなし > パッチワークボードと文鎮のおはなし p.1

パッチワークボードと文鎮のおはなし

パッチワークボードと文鎮のお話(林) 今日は先生に、パッチワークボードキルト文鎮のお話をしていただこうと思います。
私は、今になってみると、この二つほど頻繁に使う道具はないと思うのですが、どちらも便利そうだなと思っていても、何か他の物で代用出来るのではないかと思って、準備をしていない方が多い道具だと思うんです。
まずは、パッチワークボードについてお話をして頂きたいのですが、このパッチワークボードはキルトパーティのオリジナルですので、先生のこだわりがたくさん詰まっていると思うのですが、どういう所にこだわって作られたのでしょうか。

オリジナルパッチワークボードはこだわりが随所に

パッチワークボードと文鎮のお話(斉藤) この一枚でいろんな役割をしてくれているのが、このパッチワークボードなんです。キルターでしたら、布に印を付ける時には、必ずやすりボードを使うと思うんです。
まず、第一にこだわったのは、大きい事。スクールに通われていたりして、ボードを持って歩かれる方は、折りたたみの小さい物で良いと思うんだけれども、圧倒的にパッチワークって、自宅でするじゃない。大は小を兼ねるではないけれども、小さい物より大きい物の方が断然使い勝手が良いのね。バイヤスの生地を裁つ時も、やはりこれくらいのサイズが欲しいかなと思います。
そして、単純にこのやすりの面は、生地に印を付けるためだけに使います。テーブルの上だと動いてしまうので、正確に印をつける事が出来ないんです。布の裏面を上にして、やすりの上に乗せます。そして、型紙を置いて印付けをする。そうすると動かないので正確な印を付ける事が出来るんです。これが基本的な使い方、誰もが知っている役割です。
パッチワークボード(オリジナル)そして、このやすりをカバーしているセーム革なんですけれど、ここが私にとっては、とても重要な役割なんです。ただのカバーではなくて、ここの上が私の作業台。やはり、ハサミを使う、何を使うといってもテーブルの上では、置く時の音がうるさくて気になるんです。でも、この上だと違和感なく、静かに仕事ができるんです。ですので、この上でアップリケをしたりキルティングをしたりという作業をしています。

(林) 確かにテーブルに物を置く音というのは、気になりますね。アップリケやキルティングをする時は、単純にこの上にのせて作業をすると良いのでしょうか。

パッチワークボードと文鎮は、対の物

パッチワークボードと文鎮のお話(斉藤) アップリケをする時は、このように持ちあげてアップリケをすると、丸まっていますよね。そして、アップリケが終わって、起こして平らにしてみると、丸まっていた分、膨らみが出ます。ですので、アップリケもなるべく平らに作業をしたい。その時に、このボートの上に文鎮を置くんです。
このボードと文鎮は、対の物と思って頂いた方が良いかなと思います。この文鎮で押さえて、アップリケをすると平らな状態で作業をする事が出来るんです。片方を押さえていてくれるから、とってもアップリケがしやすいんです。

(林) 作業がはかどりますね。

(斉藤) そう。このように針先で折り込んでいくようにする時も、片方を押さえていてくれていると言うだけで、とてもやり易いんです。宙に浮いた状態でアップリケをするよりは、断然綺麗にいくんです。綺麗に、スムースにアップリケができます。

(林) 作品が大きければ大きいほど、押さえがないとアップリケはやりにくいと思います。

持手付き文鎮は、手首に負担がかからない

(斉藤) そうなの。ベッドカバーのボーダーだと2mの長さになる物もあるでしょう。そこにお花のアップリケを入れましょうと言う時は、長い生地を引きずって、縫う部分だけを宙に浮かして縫うと、丸まっている分、膨らみが出てしまいます。ですので、押さえておいて作業をすると、とても楽に綺麗にできるんです私はちょっと困ったなと思ったら、何でも文鎮を置いてみるんです。

(林) 文鎮はキルティングの時だけではなく、いろんな用途があるんですね。

文鎮(斉藤) 私がパッチワークを始めた頃は、今のこの持ち手がついているタイプではく、こちらの皮で包まれたタイプだったの。でも、これを見つけた時には、こんな便利な物があったと思って、とても嬉しかったんです。

(林) これはもともとパッチワーク用なのですか。

(斉藤) 全然違うものだったんです。でも、この形からは想像できない位に重たい所が気に入って買い求めてきて、使い始めたというのがスタートなんです。もう、30年ずっとこれを使ってきました。
でもね、キルティングをする時は重石として使うでしょ。その時には、しょっちゅう向きを変えるんです。そうすると、持つ所がないから手首に負担がかかるんです。

(林) そうなんです。私もこちらを使ってきましたが、動かすのが大変でした。

(斉藤) それで、もっと良い物がないかという事で見つけてきたのが、今の持ち手付き文鎮なんです。この文鎮も同じくらい重たいんです。

(林) 昔のタイプは滑り止めのために、皮に包まれていましたけれど、今のタイプは塗装がされているだけなのですが、こちらは滑ったりしないでしょうか。

文鎮は、必ずパッチワークボードのセーム革の上で使います。

パッチワークボードと文鎮のお話(斉藤) 必ずパッチワークボードのセーム革の上で使います。そうすると、動かないの。でもね、テーブルの上に置いて使うと、これだけ重たくても、滑るから足の上に落ちたりして危ないわよ。小さな作品にアップリケを入れたり、キルティングを入れたりする時は、ギリギリの所に置いて作業をするので、その時こそ危ないんです。ですから、必ずボードの革の部分に置いて作業をします。
もちろん大きな作品は、フープを使ってテーブルとおなかで固定してキルティングを入れていきますがフープに入らない小さなサイズの物は、キルト文鎮を使用してキルティングを入れていきます。だいたい私の作品は、タペストリー以外の物は、フープに張るような大きな物はほとんどないんです。バッグなんかも45cmのフープに入るバッグというのはないと思います。

(林) そうですね。先生のバッグはかなり小さめです。

パッチワークボードと文鎮のお話(斉藤) なので、ほとんどがこの文鎮を使って作業をする事が多いんです。やはり手に持って、ぐし縫いの様にキルティングを入れると波打ってしまって、作品にシワが入ります。ですので、平らにして作業をするんです。

(林) 手で持ち上げてキルティングを入れた作品は、一目でそうだ分かってしまいます。配色やピースワークなども綺麗に出来ているのに、キルトにシワが寄っていて 残念な事になってしまったという方が結構いらっしゃいますね。

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