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斉藤謠子「わたしのこだわり」 > 道具のおはなし > シームオープナーとアップリケへらのおはなし p.2

シームオープナーとアップリケへらのおはなし

(林) シームオープナーは、よく木のタイプの物を見かけますが、プラスチックとどちらが良いでしょうか。

(斉藤)確かに、木のタイプは可愛いんです。私も持っていますけれど、やっぱりすべりがいいのはプラスチックです。

曲線の折り目付けには、小回りが利くアップリケへらを

(林) 直線のときのアップリケにはシームオープナーを使用して、折り目をつけました。
今度は曲線の時に使うアップリケへらについて、教えて下さい。

シームオープナーとアップリケへらのお話(斉藤) はい。これは見たことがある形だと思います。洋裁なんかにも使うへらと同じ形なんですけれど、まずは大きさが全然違うんです。ですので、とても小回りが利くんです。
それと、鋭利というか、エッジが効いているというかしらね。歯が薄いので、しっかり印がつきます。

(林) 確かに大きさが全然違いますね。アップリケに使うピースは小さい物が多いですから、小回りが利かないと使いにくいと思います。

(斉藤) 例えばね、フリーな図案で、バスケットをアップリケしましょうと思ったら、生地の裏側に適当なバスケットを描いてみるんです。持ち手は別の生地で作りますが、出来上がりの雰囲気を確かめたいので、取りあえず描いておきます。アップリケですから、3mmの縫い代を目分量でつけて生地をカットします。そしたら、窪みの部分に切り込みを入れておきます。

コツは、へらを使う前に、窪みに切り込みをいれる

(林) 通常のアップリケの場合は、アップリケをしながら、窪みの部分にきたら、初めて切り込みを入れますが、へらを使う時は最初に切り込みを入れるんですね。

シームオープナーとアップリケへらのお話(斉藤) そうなの。切り込みをいれたら、裏側からカーブの部分を図案に沿って、アップリケヘラで強くなぞっていくんです。そうするとカーブの部分が立ちあがってくるでしょう。
切り込みを入れないと、こんな風に立ちあがってこないんです。なので、先に切り込みを入れます。そして、上の直線の部分はシームオープナーで折り目をつけるんです。

(林) 後はアップリケするだけですね。カーブの部分も綺麗にできます。

(斉藤) よくカーブの部分に切り込みを入れる方もいらっしゃるんだけど、それだとこんな綺麗なカーブはでないんです。
カクカクとした感じなってしまうし、いせ込みを入れるのはとっても手間がかかるでしょう。

(林) 確かにいせ込みを入れると綺麗ですが、いちいちカーブの縫い代を縫って、型紙を差し込んでアイロンをあてるというのは面倒です。

シームオープナーとアップリケへらのお話(斉藤) そうでしょう。こうしておくと後はベースの布に載せてアップリケをするだけなんです。針先で細かく縫い代を押し込んでいく必要がないから、とてもスピーディにできます。
そして、前回もお話しましたけれど、アップリケの時も、やはり文鎮で押さえておくと断然楽ですからね。

(林) 先生に伺いたいと思っていたのですが、よく葉っぱのアップリケをする時は、通常は生地の表側に型紙を使って印をつけ、針先で縫い代を押し込みながらまつってきますが、このへらを使う場合は、生地の裏側に印をつけるんでしょうか。

印は生地の裏側に

(斉藤) そうです。本当はね、葉っぱには型紙なんかいらないと思うのよ。小さかったり、大きかったりするのが良いと思うんだけれども、どうしても型紙を使うという時は、生地の裏側に型紙をあてて印をつけます。
そうしてから、縫い代をつけて生地をカットし、線の上をアップリケへらでなぞるんです。そうすると綺麗に立ちあがってきますから、後はアップリケするだけなんです。

(林) たくさんの葉っぱをアップリケしようと思うと、気が遠くなる思いです(笑)。でも、この状態の物を先に作っておくと楽ですね。

(斉藤) スーちゃんの帽子をアップリケするという時にも、使えるんですよ。先程のバスケットと同じように、窪みに切り込みを入れてからへらでなぞっておくと良いですね。

シームオープナーとアップリケへらのお話(林) アップリケへらの後ろ側は尖った形になっているのですが、これは何か利用方法がありますか。よくお客様に質問されるのですが、説明書にはアップリケの縫い代を折りこむために使用すると書いてあります。折りこむのには、針先を使いますので、実際には、そのような使い方はしないと思うんです。

(斉藤) そうね。いちいちへらを持つのは面倒だし、折りこむのにはちょっと太すぎるかな。
尖った部分は、いわゆる鉄筆として使います。チャコペーパーを使って図案を写す時に、図案をなぞる道具として使うと良いですよ。

(林) 確かに細い線が引けそうです。私も試してみます。

シームオープナー(3) 出来上がり線を引く

シームオープナーとアップリケへらのお話(斉藤) それからね、シームオープナーなんだけど、一枚生地の段階で表側から出来上がり線が必要な場合があるでしょう。
アップリケの図案を写すのにも、表に出来上がり線ないと、どこに写すか迷ってしまいます。表側に鉛筆で引いてもいいんだけれど、ピースワークした時に、その線が見えてしまうと、美しくないじゃない。

(林) そうですね。それに、今度は仕立ての段階になると、裏側に出来上がりが必要になったりするので、同じところにうまく線がひけると嬉しいです。

シームオープナーとアップリケへらのお話(斉藤) そういう時には、シームオープナーで裏側から線の上をなぞって折り目を付けておくと良いの。そうすると出来上がりの線がよくわかるので、アップリケの位置もつかみやすくなります。

(林) 鉛筆の線ではないですから、縫い合わせた時に表側から見える事もないですね。

シームオープナーとアップリケへらのおはなし 2/3