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斉藤謠子「わたしのこだわり」 > 道具のおはなし > いとのおはなし p.3

（林）　キルティングに使う糸は少し濃い目を選んだほうが良いとのお話でしたが、ピースワークの時には選び方はありますか。

ピークワークの糸の選び方

（斉藤）　ピースワークの時こそ、生成りなどの白い糸を使っている方が多いと思うんです。
でも、いくら1mmのきせをかけて縫い糸が見えないように隠しているといっても、キルティングの時にシンブルで下から持ち上げたりすると、糸が見えてしまう場合もあるんです。なので、ピースワークをする時には、キルト糸程慎重になる必要はないのですが、何となく縫い合わせる両方の生地に合った色の糸を選ぶと良いでしょうね。
でもまっ白い生地同士をつなげる時は、必ず白い糸を使います。中間色にこだわってベージュ色を選んだりすると、却って汚くなってしまいます。

（林）　極端な話ですが、まっ黒い生地とまっ白い生地を縫い合わせる時はどうしたらよいですか。

（斉藤）　今までの話で言うと、グレーと言いたい所なんだけれど、白が入った時は違うのよ。糸は白か黒。白い生地って、裏側が透けて見える場合があるから、糸も中間色ではダメなんです。私なら白を使うわね。

（林）　それから、よく質問されることなのですが、アップリケをする時の糸は土台布に合わせるのか、上に乗せる生地にあわせるのか教えて下さい。

（斉藤）　アップリケをする時は、上に乗せる方の生地の色に合わせます。奥たてまつりで縫いますから、どうしても糸が見えてしまいますので、アップリケこそ、なるべく生地に近い色の糸を選んだ方がいいのよ。
一気に揃えるのは大変ですから、ご自分の生地にあわせて、少しずつ集められると良いでしょうね。糸の番号を控えておいて、二重に買わないようにすると良いと思います。

（林）　糸の買い方としては、ピースワークでよく使うようなスタンダードな色の糸は大巻きで買って、赤やグリーンなどのカラーの糸は小巻で揃えていくというのが賢い揃え方でしょうか。

（斉藤）　そうですね。カラーの糸も、そのうち自分の好みの生地が決まってくると、買う糸の色も決まってくるようになると思います。

（林）　先生はたくさんの作品を作られますから、糸もたくさんお持ちだと思うのですが、普段はどのように保管なさっていらっしゃいますか。

（斉藤）　立派な糸たてがあるのよ。バーっといっぱい立っているの。プロっぽくて格好いいでしょ（笑）って思って使っているの。

（林）　先生はプロですから（笑）先生のように毎日使われる方は別ですが、埃がついてしまいそうな気がします。

（斉藤）　缶などに入れても良いと思いますよ。

巻いてあるタイプの方が無駄なく使えて、持ち運びなどにも便利

（林）　最後に、しつけ糸について伺いたいと思います。パッチワーク用のしつけ糸は洋裁用と何か違いますか。

（斉藤）　ううん、同じよ。

（林）　ここにある物は巻いてあるタイプのものなのですが、よく束になった、いわゆる「かせ」の状態で売られている物がありますが、それでも良いのでしょうか。

（斉藤）　もちろん、全然問題ないです。でも、かせになっている物は洋裁で良く使うように出来ていますから、長糸になってしまいがちなんです。
パッチワークの場合は、長糸では使いませんから、巻いてあるタイプの方が無駄なく使えるし、持ち運びなどにも便利だと思いますね。

（林）　しつけ糸を最初に用意するとしたら、白い物がよいでしょうか。

（斉藤）そうですね。基本は絶対に白です。
ホワイトキルトなんかした時に、よくわかるようにとピンクやブルーでしつけをかけると、しつけ糸の繊維が綿の所に残ってしまったりする可能性があります。
でも、段々上手になってきたら、白だけでは足りないんです。バッグなどの仕立てをする時に、先に白糸でしつけをかけた所をミシンで縫って、しつけを外し、その後、色のついたしつけ糸で縫った部分をミシンで縫うという事をします。一回ミシンをかけるごとにしつけ糸を外さないと、後でまとめて取ろうと思うと大変になりますから。

（林）　わたしも専科のクラスに入った時に、しつけ糸の二色使いの話を聞いて、なんてプロっぽいの、格好良いわ！と思って、喜んでピンク色の糸を買って帰りました（笑）。

（斉藤）　最低、二色はあると便利だと思うわよ。

（林）　少し前になりますが、ミシンの講習会があったのですが、その時に、ミシンの先生から糸にも寿命があると伺ったんです。
基本的には寿命は2年。保管方法も大事で、日当たりに置いたりすると早くに糸が切れるようになるとのお話でした。

（斉藤）　そうね。確かにそれくらいかもしれない。糸が切れるようになったら、寿命かなって思って下さいね。

（林）　今日は先生に糸の話を伺いました。糸の選び方に注意して、綺麗な作品を作りたいと思います。ありがとうございました。

インタビューの中でご紹介したアイテム

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いとのおはなし 3/3