(林) 続いてリングカッターについてですが、以前、ハサミのお話の中でほんの少しご紹介したのですが、使い方をもう少し詳しく教えて下さい。
(斉藤) ピースワークの時は単純に左手の親指に、刃を上向きにして爪と平行にはめて下さい。そして、端から縫ってきたら返し針をして、結び玉を作ったら親指をスッと前に出して刃にひっかけてプツっと切るんです。
(林) ハサミを使わない分、縫うスピードが違います。
(斉藤) これが無いと仕事にならないわよ。
(林) 時々ついてないのに指を出してしまうことがあります(笑)
(斉藤) そうなのよ。ついてないのに出しちゃうと、もうっ!ついてないじゃない!ってなるの(笑)
(林) キルティングの時などは、糸きりハサミを使うと、折角のキルトに傷をつけてしまうのではないかと心配になりますが、リングカッターは、その点では安心です。
(斉藤) そうです。糸きりハサミを使うときも、チョキンとすると危ないので、刃を開いてスッと切ります。それから、キルティングの時だけですけど、リングカッターの刃を下向きにつけると良いわよ。
(林) それは初耳です!どんな利点があるのでしょうか。
(斉藤) キルティングをしているときは、上に向けるより、断然下に引くほうが楽じゃない? でも、ピースワークの時は刃が上向き、キルティングの時は下向きって説明すると皆さんが迷われるので、どちらも上向きで説明してきましたが、作業によってやり方を変えるといいかもね。
(林) なるほどという感じです。今日はシンブルについて、色々なお話を伺いました。シンブルについては道具選びも大事ですが、とにかく練習あるのみだと思います。
(斉藤) 本当にそうです。それこそ、どんなに慣れない人でも、一日に一時間しかできない人でも、一週間シンブルをはめた状態でキルティングをしてもらいたいんです。シンブルをはめないでキルティングをしている方が、シンブルをはめてやってみると、絶対に針目が粗くなります。そうすると、私のキルティングの針目はこんなじゃないわって言って、またはずすんです。つけたりはずしたりということを繰り返していると、絶対一生使えないんです。
私はよく生徒さんにも言うんだけれども、折角シンブルをはめて少し指に馴染んで、キルティングを入れられているのに、違和感があるからといってはずしてしまうと、せっかく10のうち、1か2位まで出来ているかもしれないのに、はずしてまた0に戻してしまう。でも、やっぱりたくさんのキルティングは入れられないから、またはめて、またはずす。これを繰り返しているといつまでたっても0の状態なんです。だから、とにかくはめたらはずさないことです。よく言うのよ、シンブルをはめて生活しなさい、そうしたら絶対馴染むからって(笑)私達にとっては、これが無い事の方が困るのよ。どれ一つ無くてもキルティングが入れられないですもの。
(林) そうですね。無いと痛いことがわかってますから、どれか一つ欠けても難しいです。
(斉藤) 急にキルティングを見せて下さいって言われる事があるんだけれども、ごめんなさい、道具がないから出来ません。と言うくらい、すべて揃っていないとできないんです。そして、シンブルをはめることでしっかり指を保護できるから、どんなに大作のキルトでも仕上げていくことが出来るんです。
(林) それともう一つ、このシンブルを使いこなす為には、文鎮かフープが絶対必要だと思うんです。よく、お財布やコースターなどとても小さな物にキルティングを入れる時は、運針の時のように持ち上げてキルティングを入れるんですよね、と質問されるんです。でも、シンブルでは運針は出来ないので、違うんですよと言うと皆さん、とても驚かれるんです。
(斉藤) あら!もちろん、持ち上げるこは無いです。どんなに小さな作品でも文鎮で押えて固定してキルティングをいれていきます。両手が使えるようにしないと、キルティングは入れられないわよ。
(林) 持ち上げてキルティングを入れてしまった作品は、シワがよっていて綺麗ではないですね。
(斉藤) 一目でわかりますよね。文鎮はキルティングの時以外にも、色々な用途に使えるんです。いつかじっくりお話しましょうね。
(林) 是非お願いします。先生、最後にキルティングを入れているところを見せていただいて良いでしょうか。
(斉藤) 年季の入ったシンブルでしょ。そして、私は拡大鏡が必要なのよ。
(林) 先生のキルティングは、本当に細かくて、表と裏の針目に差が無いです。私のキルティングは不揃いな挙句に裏の針目が小さくなってしまいます。
(斉藤) それは、垂直に針が入っていないのよ。垂直に針を入れて、寝かす時に針を受けるシンブルの角を使っているんです。林さんはやり方が優しいの。もっと力を入れないと駄目よ。私はもっとグッと力を入れてるもの。針を押す指は針のお尻に軽く添える気持ちで、最後にググッと押すんです。
(林) もっと縦に入れる感じですね。結構力を入れないといけないんですね。それに、私の悪い癖なんですが、真剣にやっているうちに、段々目に近づけるように持ち上げてしまうんです。
(斉藤) それは駄目ね。やっぱり、しっかり押えた方がいいわ。そして意識して細かく入れるようにした方がいいわね。キルティングも入れれば入れるほど上達するから、キルティングをたくさん入れてきた人には敵わないって言うわよ。
(林) そうですね。先生はこれまでにたくさんの作品を作られてきたと思いますが、いつも作品の締め切りに追われて、お忙しいのに、キルティングがとても綺麗です。見習わなくてはならないなと思います。みなさんにも是非シンブルを使って、綺麗なキルティングを入れられるようになっていただけたらなと思います。
(斉藤) 是非、練習してくださいね。
(林) 先生、今日はありがとうございました。(おわり)
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シンブルのおはなし 3/3