(林) 今日は先生に、鉛筆のお話をお願いしようと思います。
手芸店にいくと、水性のチャコペンシルや、粉の入ったライナー型など、いろいろなタイプの鉛筆が売られていて迷ってしまいます。パッチワークは洋裁とは違って、小さな型紙をたくさん取る事が多いと思うのですが、どのような物を選んだら良いでしょうか。
まずは、生地の裏側に印をつける時には、どのような物を選んだら良いか教えて下さい。
(斉藤) 私がパッチワークを始めた時には、2Bの鉛筆の先を尖らせて、薄く引くようと言われていていたんです。
段々と良い鉛筆が出てきて、もう随分前になるけれども、このカリスマ鉛筆という物が出来たんです。これは水に通すと消えるという画期的な鉛筆なので、多少キルティングラインを濃く引いても、布に水をつけてこすると落ちるし、いつかキルトが汚れた時にはお洗濯すれば、その時には消えるというので、もう長い間この鉛筆を使い続けてきました。
でも最近になって、やはり鉛筆タイプでは、たくさんの印付けをしていると、どんどん先がまるまって太いラインになってしまうので、シャープペンシルのタイプの物が出てきたんです。シャープペンシルにも色々なタイプがあるんだけれども、最近出てきたのが、このカリスマシャープペンシルなんです。これは、先程のカリスマ鉛筆のシャープペンシル版と思っていただければ良いですね。芯は0.9mmあります。
(林) 0.9mmというと結構太めなんですね。
(斉藤) そう。ですから、太い分折れにくいと思うんです。細い線が一定の太さで引けるというのは、本当に画期的な事で、とても気に入っている物なんです。
(林) 今はいろんな色が出てきましたね。
(斉藤) 最初は、黒と白と黄色の三色が出てきて、その次にグリーンが出たんです。そして、つい最近はピンクが出たんです。微妙な色合いの時には、ピンクなどを使うと良いでしょうね。
(林) すべてを揃えるのは、なかなか難しいと思うのですが、先生のおすすめの色はどれしょうか。
(斉藤) やはり、基本的には白っぽい生地には黒を、黒っぽい生地には白ですけれども、どっちかなと迷うような色の布の時は、ピンクですとかグリーンなどを使っていただくと良いかもしれませんね。
(林) 三色を持っていると作業はやりやすいでしょうか。
(斉藤) そうね、三色位はあった方が良いかも知れませんね。よく生徒さんが、本体を一本買って、替え芯だけをを二種類持っていれば良いわねっていうふうにお話されて買って行かれるんだけれども、結果的には、その都度芯を替えるのがとても面倒な事に気付いて、結局また本体も買われて行きますね。
(林) 実は、私も本体の黒を買って、替え芯の白を買ったんですけれど、いざ作業を始めてみると、芯を替える作業が面倒で仕方ないんです。長い芯を最後までカチカチと出して、新しい芯を入れ替えるなんて、とても出来ません。下から芯を入れたら早いかと思って、無理矢理下から差し込んでみたりして(笑)作業をしてみるとわかりますけど、最低でも本体の二色は必要です。
(斉藤) そうね。それからね、この商品が発売になった時は、本体に色の印が何もついていなかったの。なので、パッとみた感じでは、何色なのかが分らなかったのね。
(林) 芯を出してみないと分らないという感じでしたね。
(斉藤) そうねの。だから私も消しゴムの頭の所に色を塗ったりして使っていたんだれども、最近は、消しゴムの所に色ごとにリングがつくようになったので、ここですぐ見分けが付くように改良されたので、ますます使い易くなりましたね。
(林) 生地の裏側に印を付ける時も、カリスマを使いますが、これはキルティングラインを引く時にも使いますか。
(斉藤) もちろん。これは水に通すと消えるタイプですから、裏側に印をつける時も、キルティングラインを引く時も、どちらにも使えるんです。というか、普通に字を書く時もすごく書き味が良いんですよ。なので、ちょっと製図をしましょうとかスケッチをしましょうなんていう時も、とても滑らかな書き味なので、単純に鉛筆として使っています。
(林) 生地の裏側に印をつけると言うと、意外と何でも良いと思っている方が多いような気がします。
(斉藤) そうかもしれないわね。先程お話したように、2Bの鉛筆などでもいいんだけれども、見えないから濃く引いてしまうようであれば、濃く引いても消せるタイプの物の方が良いので、カリスマを使った方がいいと思います。
(斉藤) こちらはアメリカの色鉛筆なんだけれども、カリスマが出る前は、私はほとんどこれを使っていたんです。チャコペンシルを使ってもいいんだけれども、チャコペンシルって、とにかく芯が折れやすい。すぐに芯が丸まってしまったりするので、無駄が多いんです。でも、黒い生地に印をつける時は、2Bの鉛筆では線が見えないので、この色鉛筆を使っていたんです。これはすごく芯が柔らかいんです。ちょっと表現が難しいんだけれども、生地に書くとヌメっとした書き味なんです。
(林) そうですね、ネチっという感じでしょうか。
(斉藤) そう、そうね。そういう感じで生地にしっかりと印が付くから、目の悪い私はラインがすぐに見えるのでとても助かっていたんです。でも消えないので、これでキルティングラインを引いてしまうのは、ちょと心配ですから、それにはおすすめできなんです。でも、生地を裁つ時の裏の印付けだったら、これはとても書き味が良いです。
(林) 私もこの色鉛筆はとても書き味が良いので、今でも好んで使います。
(斉藤) ウールなどに印をつける時は、カリスマだとちょっと頼りない感じがするので、そういう時にはこの色鉛筆の方が付きは良いです。消えないという事を頭に入れておいて使っていただく分には、とても使いやすいと思います。
(林) 鉛筆を使う時は、なるべく芯を細く尖らせて使った方がいいですね。
(斉藤) そうね。この鉛筆は、日本の物とは違って、こんなに細く尖らせても芯が折れないんですよ。普通、鉛筆削りで色鉛筆を削ると、鉛筆削りに芯が詰まってしまってこんな風に尖らせる事は出来ないんです。
だからと言って、鉛筆削りで削る事は、あまりおすすめ出来ませんね。やっぱりご自分で削った方が良いです。なんて言いつつ、私は横着者ですから、一回一回削るのが面倒なので、一回に10本くらい用意して、削る時には、一気に全部を削る。書くときには一気に書くという風にして、鉛筆削りを使ってしまっていますけれどね(笑)本当は手の方が良いでしょうね。
鉛筆のおはなし 1/3