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鉛筆のおはなし

綺麗なキルトの条件は、キルティングラインを薄く引く

鉛筆のお話(斉藤) 結局ね、キルトを入れてしまってから、ラインを消そうと思っても、芯を糸と一緒に縫い込んでいることになるから、消えないんですよ。

(林) どんなに頑張って上からこすってみても消えないですね。

(斉藤) そうなの。だから、これからキルティングをしますっていう所を薄くしておいてから、刺していくといいですね。最初に全体を薄くしてしまうと、いざ刺そうと思うと線が見えなくなるので、縫うところだけを消した方が良いです。

(林) 私はキルティングラインを入れるのがとても苦手なんです。なので、いつもラインが濃くなってしまうんです。

(斉藤) あら、若いのに。

(林) そうなんですけど、毎回そこで気が重くなるんです。何かコツがあるのではないかと思うのですが。

(斉藤) やはりね、綺麗なキルトの条件にキルティングラインを薄く引くというのがあるんです。

(林) 先生は、キルティングラインを引かれる時は、照明などに工夫はされますか。

(斉藤) そうね、とにかく手元は照らさないといけないので、夜にキルティングラインを引いてはいけないんです。夜はね、ついつい見えないから濃く引いてしまいがちなの。昼間でも手元を照らすようなライトを使ってラインを引いた方が良いです。もちろんキルティングを入れる時も手元のライトは使います。

(林) 私は、日中は仕事がありますので、どうしても家で針仕事をするのは夜になってしまうんです。ずっとそうしてきたので、苦手だったのかもしれません。今度は昼間にキルティングラインを入れるようにしてみます。

(斉藤) まずは、それがいいかもしれないわね。

(林) 今はこのスティックタイプの消しゴムがありますが、私がキルトを始めた頃は、ねり消しゴムのタイプしかなかったんです。この使い方を教えて下さい。

(斉藤) これは、シャープペンではなくて、2Bなどの鉛筆を使われる方は、こちらの練り消しのタイプを使うと良いでしょうね。これをちょっとちぎって、自分の体温で温めながら、良く練るんです。やわらかくして、描いた線の上に押しつけるようにして、粉をすいとるんです。決してこすってはいけないの。こんなふうにたたくようにして使います。

鉛筆のお話 ねり消しゴム(林) 消しゴムの方に黒くつきますね。

(斉藤) そうね。移動させるような感じで使うんです。そして、たくさん消していくと、段々消しゴムも汚れてくるでしょ。そうしたら、また良く練るんです。そうすると長いこと使えるんです。

(林) この消しゴムは、空気に長時間触れるような状態で置いておくと、硬くなってしまいますが、保管方法はどのようにしたら良いでしょうか。

(斉藤) ビニール袋のような物に入れてから、小さな缶などに入れておくと良いでしょうね。硬くなったら、また練っていれば段々柔らかくなってきて、使えるようになります。

(林) わかりました。乾燥させないように注意した方が良いですね。

フリーのキルティングにはキルティングラインはいれない

(林) それから、先生に是非お聞きしたかったのですが、今回のマンスリーキルトでもそうなのですが、先生はよく作品に風が吹いているような感じのキルティングを入れていらっしゃいますが、ああいうキルティングを入れる時には、キルティングラインは引いていらっしゃるんですか。

(斉藤) 引かない、引かない。

(林) え!あれだけ大きな作品にも、一本も引かないんですか。

鉛筆のお話(斉藤) というかね、慣れてきたら引く必要は全然ないです。だけど、どれぐらいのそよそよ感にしたらいいかと迷うようだったら、基準線だけを何本か引くと良いでしょうね。同じうねりで入れていくと不自然なので、動きのあるラインを入れたいと思ったら、基準線からうねりを変えていくという事をすればいいんです。ああいうキルティングを入れる時には、キルティングラインを引くことはしません。なので、とても楽なんです。楽だからついついあれにしちゃうんです。

(林) 見ている側にとってはとても難しく思えます。私も、先生の真似をして、風が吹いているように入れてみようと思ったのですが、最初は考え込んでしまって、なかなか進まなかったのですが、針が進むままにやってみたらいいのかな、どうせ自分のだからいいやって思ってやってみると、それなりに見えるものですね。

(斉藤) ただ、気をつけなくてならない事は、同じうねりにならない様にしないといけないんです。

(林) 少し変化をつけた方が良いという事ですね。そこがまた難しい所ですね。

(斉藤) 多少うねりに変化をつける事を心がければ、ご自分が思っている程難しくないの。人がやっているのを見ると上手に見えるだけです。ラインを引くというだけで、構えてしまうでしょ。トップが出来て、さあキルティングという時に、ラインで悩んでしまうと、気持ちが途切れるじゃない。気楽に考えればいいんです。フリーにと思ったら、ラインは入れなくていいし、ラインを引かなければならないパターンの時には、薄く引いていく事を心がければいいんです。

(林) 先生に、もう一つお聞きしたいのですが、キルティングラインは薄く引きましょうということですが、ベッドカバーサイズのキルトの場合は、キルティングラインを入れてた後、しつけをかけるのに畳に張り付けて、その上に乗っかってしつけをかけます。そうするとこすれてしまって、キルティングラインがほとんど見えない状態になってしまうのですが、そのいう時にはどうしたら良いのでしょうか。

(斉藤) 私たちは、経験上、この鉛筆はこれくらい強く引いておいても、キルトを入れる時には、この程度になるというのが分かっているので、それを計算して多少濃い目に線を引きます。それでも消えてしまった時には、描き足す作業をします。キルトスタンドを使ってキルティングをいれていきますので、その上で定規をあてて、今日刺していくところの部分だけを描きたしていくんです。

(林) キルト芯がある分、ちょっと線を引きにくいと思うのですが、なるべく一回目に引いた線と同じ所に線を引くためにコツはありますか。

鉛筆のお話 方眼定規(斉藤) そうですね。そういう時には方眼定規を使うといいんです。この定規は柔らかいので、キルトと同じカーブで沿ってくれるんです。これが固い定規だとしならないので、同じ所に線を引く事ができないんです。

(林) 確かにそうですね。固い定規だと、キルトにたわみがある分、まっすぐな線が引けないんですね。

(斉藤) 方眼定規っていろんな場面で活躍してくれるのよ。

(林) 最後にお聞きしたいのですが、パイピングでくるむ時に、表側に出来上がり線を引きますが、この時にも消えるタイプのペンを使った方が良いでしょうか。

(斉藤) そうね、ちょっとずれたりする事があるので、消えるタイプのペンの方が良いですね。最初にご紹介した色鉛筆などで引くと消えないので、注意しましょう。

(林) 今日は鉛筆についてお話していただきましたが、現在は消えるタイプのシャープペンシルが出ていますので、それほど用途によって、鉛筆を変える必要はないようですね。

(斉藤) 今は良い物がどんどん出来てきましたからね。

(林) 昔のシャープペンは、芯がポキポキ折れるので、とても不経済でしたし、使いにくいと思っていました。現在の物は、これですべての作業がでできると言っても良さそうですね。

(斉藤) そうですね。大丈夫だと思います。

(林) では、キルティングラインは薄く引く、裏側の印付けも裏側だからといって、気を抜かずに薄く引く事を心がけて、綺麗な作品作りをしたいと思います。先生今日はありがとうござました。

インタビューの中でご紹介したアイテム

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