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斉藤謠子「わたしのこだわり」 > 道具のおはなし > 刺しゅう道具のおはなし p.2

刺しゅう道具のおはなし

ボビン巻きの刺しゅう糸の使い方

(林) それから、残った刺しゅう糸の保管はどのようにしておくのが良いでしょうか。中途半端になった糸だけを集めておいても糸番が分らなくなったり、絡んでしまったりで、結局使わないままになってしまいます。

刺しゅう道具のお話(斉藤) 私は、単純にこの束に巻き付けておくようにしています。そういうこともあって、このように巻きになったタイプの物が出てたんです。
ただ、束になった物に比べると、断然色数が少ないんです。色が合えばですが、私はこちらの方が使い勝手が良いと思います。

(林) これは二本どりで巻いてあるタイプですね。

刺しゅう道具のお話(斉藤) そうです。これが二本どりでこちらが三本どりで巻いてあるんです。

(林) この糸を使用する時も、一度バラバラにしてから合わせ直す方が良いでしょうか。

(斉藤) メーカーはそのままで大丈夫と言っています。私もそのまま使っているけど、問題ないですね。

(林) 例えば、二本どりで巻いてある糸を三本どり、四本どりで使いたい場合はどうでしょうか。

(斉藤) 三本どりの時には、二本と一本で合わせます。四本どりの時には、二本同士を合わせます。

(林) 巻きのタイプの方が合わせ直さないといけないのかと思っていました。

(斉藤) もちろん、バラバラにして合わせ直すとより良いのかもしれないけれど、そのままで大丈夫よ。

(林) 最初から二本どりになっていて、合わせ直さなくても良いとなると、とても使い勝手が良さそうですね。

刺しゅう道具のお話(斉藤) 私は断然二本どりで刺しゅうを入れる事が多いので、色さえ合えば、とても使いやすいですね。
ただ、ボビンに巻いてる分、束の糸に比べると、若干、ほんとに若干なんだけど、細い気がしますね。 なので、フレンチナッツステッチなどをすると、高さがない分小さなステッチになります。

作る作品によって刺しゅう糸を使い分ける

(林) こちらの5番手の糸ですが、クレイジーキルトの飾り以外にはどのような場所に使うのが効果的でしょうか。

刺しゅう道具のお話(斉藤) テディベアのお鼻を刺しゅうしたりするのに使うと良いんです。
この糸をよく解いて使う方がいらっしゃるんですけど、これはこのまま一本で使います。少し光沢がありますから、濡れたお鼻の感じが出ると思いますし、サテンなどの生地を使って、クレイジーキルトを作られる方には、この光沢がとても美しく出るのではないかと思います。
逆に木綿の生地で作ったパッチワークの作品には、私はマッチしないのではないかと思うので、刺しゅうとしてはあまり使わないですね。

(林) リネンの刺しゅう糸というのがありますが、これはどういう時に使用したら効果的でしょうか。

刺しゅう道具のお話(斉藤) これは、5番糸では光沢があって使いたくないけれど、太い糸で刺しゅうを入れたい時に使うと良いと思います。木綿の生地にとても良くマッチしてきれいですよ。
最近は、麻の生地を使って作品を作られる方も多いので麻の生地を使った作品には、麻の糸で刺しゅうを入れる良いと思います。

(林) 強さ的には問題ないのでしょうか。

(斉藤) 全然問題ないですね。

(林) 少し前にこちらのMOCOという糸が発売になりました。こちらも少し太い糸だと思うのですが、5番糸とどういう所が違いますか。

刺しゅう道具のお話(斉藤) やはり、光沢の違いです。5番糸に比べると光沢がないので、パッチワークの作品にはとても使いやすいと思っています。

(林) コロニアルノットなどのステッチを入れると、ふっくらとした可愛らしい感じに仕上がるので、私はとても気に入っています。

(斉藤) そうですね。やはりキャンドルウイックの糸は色数が少ないので、すべてをキャンドルウイックの糸でするというのは難しいんです。その点、MOCOは色数が多いので選びやすいと思います。
ただ、コロニアルノットが少し小さいかなという気はします。

(林) 刺しゅう糸と言ってもいろんな種類がありますね。作る作品によって使い分けてみたいと思います。

パッチワークに使う刺しゅう針

(林) 次に刺しゅう針について伺いたいと思います。
パッチワークの刺しゅうに使う針もフランス刺しゅうと同じで良いのでしょうか。

刺しゅう道具のお話(斉藤) そうです。フランス刺しゅう針を使います。
二本どり三本とりでしたら7号の針がいいでしょうね。でも、すべてが7号でできるわけではないですから、糸の本数によって針を変える必要があります。
7~10号の取り合わせになっている物を用意すると便利だと思います。

(林) 3号というのは、MOCOや5番糸などの太い糸の時に使うと良いでしょうか。

(斉藤) そうね、太い糸のときにはちゃんと太い糸用の物を使って下さい。
針ってとても重要でね、例えば、二本どりで刺しゅうをしようとすると、針の穴の部分は、入った糸と出た糸で合計4本になるでしょう。そうすると、針が細すぎると生地に抵抗がかかって、刺しゅう糸がすれて毛羽立ってしまうんです。
刺しゅうをする時は、糸よりも大きな穴を開けて、そこを糸が通っていくという感じなんです。そうすると糸が毛羽立つことなどもなく、きれいな刺しゅうを入れる事ができます。

(林) 糸が通れば何でも良いというわけではないんですね。

(斉藤) そうよ。糸が入ったからこれでいいや。という事はしません。

刺しゅう道具のお話(林) 私はよく二本どりでアウトラインステッチを入れる時に、一本だけが付いてこなくて、途中でプクっとふくれてしまう事があるんです。それも針があっていないのでしょうか。

(斉藤) そうね、負担がかかっているんだと思います。針が細いかもしれないですね。

(林) 注意して使ってみます。

最近のお気に入りは使いやすいパッケージに入った刺しゅう針

刺しゅう道具のお話(斉藤) 最近、私はピースメーカーのアソートという刺しゅう針が好きで使っているんです。
先程の取り合わせの針と同じようなのですが、針の太さがとてもわかりやすいパッケージになっているんです。両サイド2本が1本どり。次の3本が二本どり。次の2本が3本どり、その次が4本どり用になっているんです。5本とり以上になったら、やはり3号の針を使います。
使った針も同じ位置に戻しておけば、わかりやすいですよね。

(林) それに随分お得な感じがします。

(斉藤) そうね。たくさん入っていますからね。

刺しゅう道具のおはなし 2/4