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斉藤謠子「わたしのこだわり」 > 道具のおはなし > 刺しゅう道具のおはなし p.4

刺しゅう道具のおはなし

コロニアルノットとフレンチナッツの違い

(林)先生の作品には、フレンチナッツよりも圧倒的にコロニアルノットが多いと思うのですが、お客様からフレンチナッツではいけませんかという質問をよく受けます。
8の字に回すより、フレンチナッツの方が簡単にできると思うのですが。

(斉藤) 見た目は良く分らないと思うんだけれども、フレンチナッツはグルグルと糸を巻き付けてから生地に針を刺すから、なかなか方向が揃わないんです。
でもコロニアルノットは、進んでいく方向を決めて刺すから、きれいに均一なノットができる。上から見るとQという字の様になるんですが、その方向が全部一緒になるからとてもきれいなんです。

(林) 針を抜かないで次の目に針を出すというのが重要なんですね。もっと練習します!

刺しゅう道具のお話(斉藤) そうね、頑張ってみて。
ラップスタンドを使うと楽だと思うわよ。ラップスタンドは、小さな枠と大きな枠の二種類の刺しゅう枠でできています。面積を大きく使いたければ、大きい枠の方を使えば良いですから。
もっとサイズの大きなラップスタンドもあります。そちらはキルティングにも使えるんです。
先程もお話しましたけれど、枠に溝が付いていますので、三層になった物もしっかりと挟む事が出来るんです。

(林) 普通のフープですと、お腹とテーブルの間に挟んでキルティングしていても、パカっと外れてしまう事がありますが、その心配がないですね。

(斉藤) そうなの。フックドラグをする方もとても便利だと思います。取りつけも簡単なんです、単純に足をはめるだけ。足をつけないで使う事もできます。

(林) 普通の刺しゅう枠ですと、枠からはみ出ている生地を一緒に縫い込んでしまっている事があるのですが、ラップスタンドですと、その心配もないです。

(斉藤)そうですね。一所懸命やって、縫い込んでいるとガッカリするわね。

刺しゅうをするときに使う道具

(林) 先生は刺しゅうをされる時には、何か指ぬきを使われますか。

刺しゅう道具のお話(斉藤) 長時間刺しゅうを入れる時には、やはり指ぬきをします。私は皮製のキャップ式を使っています。

(林) リングカッターは使われますか。

(斉藤) 刺しゅう糸が毛羽立ちますので、リングカッターは使いません。

(林) 少し前に、刺しゅう糸の糸通しでエンブロイダリースレダーという物がでました。

刺しゅう道具のお話(斉藤) そうですね。これは、針穴に金具の部分を差し込んで、そこに糸を入れるんです。

(林) 一本どり用の細い針だと金具が穴に入らないので使用できませんが、太い針の時には便利です。

(斉藤) これは後ろ側に穴が開いていて、紐を通して首に下げられるようにできています。
小さいので、うっかりすると無くしてしまいそうでしょ。糸を通す度に、これを探すのでは大変(笑)

(林) そうですね(笑)机の上はいろんな道具がでますから、小さな物は要注意です。

アウトラインステッチをきれいに入れるには?

(林) 刺しゅう道具についてお話を伺ってきましたが、今度は刺しゅうの技法についてお客様からよく質問される事を伺いたいと思います。
パッチワークに入れる刺しゅうで、圧倒的に多いのがアウトラインステッチだと思います。
葉っぱの葉脈などをアウトラインステッチでする事が多いと思うのですが、目が揃わないとかカーブの部分がうまくいかないという声が多いのですが、どのようにしたらきれいに入れられますか。

(斉藤) アウトラインがきれいにいかないのは、針目が粗いというのが一番の原因です。
パッチワークの刺しゅうというのは、クレイジーキルトを除いては、ほとんどがアウトラインステッチでカバーできてしまうんです。レッドワークとかブルーワークといって、一色の刺しゅう糸で図案の上をアウトラインステッチで刺していく分野があるくらいですから。
難しいステッチは、やってみて興味がでてきたら、刺し方の本をみて勉強すると良いと思います。

(林) まずは針目を細かくするという事でしたが、アウトラインステッチというと、糸が斜めに渡っていますので、針を刺す位置も斜めにしないといけないのかなと思うのですが、単純に図案の上を刺していく感じで良いのでしょうか。

(斉藤) 私は単純に図案の上を刺して行きます。変に斜めにしようとすると、きれいなラインがでないんです。

(林) 刺しゅうの場合は、生地の裏側に玉結びや玉止めをしてしまっても良いのでしょうか。

刺しゅう道具のお話(斉藤) そうね、レッドワークみたいに真っ白い生地を使う場合は、裏に赤い糸の玉結びがあると、透けて表に響いてしまうので、玉を作る事はしません。縫い始めより、少し入った所から玉結びを作らないで逆方向に返し縫いしておき、そこからアウトラインステッチで刺して行きます。
でもね、今はあまり真っ白い無地の生地を使う事ってないと思うんです。私がそうだから。レッドワークをする時も、柄が入っていたり、チェックだったりします。透けてしまうようでしたら、玉は作らない方が良いでしょうね。

刺しゅうを入れるタイミング

(林) 私もレッドワークの授業の時に、玉を作らないで返し縫いで始めると習ったのですが、どうしてもそこの所が太くなってしまうので、気になっていたんです。透けなければ必要ないんですね。安心しました。
それから、一番多い質問なのですが、刺しゅうはいつの段階でするのがよいでしょうか。

(斉藤) トップの段階でして下さい。
やっぱり、結び玉の処理に困るので、キルティングを入れる前にする方が良いですね。パターンの段階で入れられるものは、パターンが出来たら入れておき、パターンのはぎ目に刺しゅうを入れるのでしたら、パターン同士をはぎ合わせた時にいれます。
ですので、2m位の大きさになってからでも刺しゅうを入れる事があります。

(林) キルティングが終わってからちょっと刺しゅうを加えたい、という時もあると思うのですが、その時はどうしたらと良いでしょうか。

(斉藤) その時は、パターンのはぎ目やアップリケの隙間などにうまく結び玉を引き入れてします。
でも、それが大変なので、できればトップの段階でするのが良いですね。

(林) 落しキルトを入れる時に、刺しゅうが邪魔だなと思ってしまうのですが、それはどのようにしたら良いでしょうか。

(斉藤) 入れている刺しゅうによります。
アウトラインステッチでしたら、単純に刺しゅうに沿って落しキルトをいれれば良いですし、フェザーステッチの様な飾りの刺しゅうでしたら、落しキルトは入れる必要はないと思います。
どうしても落しキルトを入れたいのであれば、刺しゅう糸に渡らなようにザクザクとした粗い針目のキルティングで良いでしょうね。

(林) 刺しゅうだけで作るエンブロイダリーキルトをする際には、刺しゅうの際にも落しキルトを入れた方がよいでしょうか。

(斉藤) そうです。入れた方がきれいです。
ベースの部分は、オールオーバーに格子などでキルティングを入れて、刺しゅうの部分は落しキルトを入れます。そうしないと、ベースのキルティングに刺しゅうが負けてしまって、主張してこないんです。刺しゅうの両側に入れる必要はないですがら、刺しゅう糸の上か下、どちらが一方で良いので入れた方が断然きれいですね。

(林) 例えば、アップリケでお店屋さんなどをして、看板に刺しゅうで文字をいれたら、それにも落しキルトを入れた方が良いですか。

(斉藤) 入れた方がきれいです。文字が浮かび上がらないですからね。
少し手間がかかりますけれど、手間をかけた分きれいな作品が出来ると思いますよ。

刺しゅう道具のお話(林) そうですね。何事も手間をかけるときれいな作品になりますし、出来上がりにも満足します。私も刺しゅうを練習して、いつかエンブロイダリーキルトを作ってみたいと思っています。
先生、今日はありがとうございました。

インタビューの中でご紹介したアイテム

こちらのアイテムは全てキルトパーティwebshopでお取り扱いがございます。
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刺しゅう道具のおはなし 4/4